2025-12-20 遺品の焼却 私が死んだ三日後、書斎に置かれていた物品は全て庭に持ち出され、父が愛用していたライターによって火を放たれた。庭にぎっしりと積み上げられた万年筆、蔵書、棚、椅子、埃をかぶった使途のよく分からない異国の土産物、色とりどりの封筒の山は、汚らしくくすんだ煙を吐き出しながら三日の間燃え続けた。ようやく全てが灰に帰し、私の所有物だった物の山を長らく彩っていた火が消えると、ほどなくして煙に燻された空から雨が降り始めた。雨は三日間続いた。